2月特集「SAIPAN ジャングル探検<ナフタン岬編>」
サイパンといえば、白砂のビーチでマリンスポーツ三昧!これは誰もが抱いている、この島の基本的なイメージ。「それ以外に何かないの?」。最近、N@chan!のWEBサイトを通じて、そんな問合せがひっきりなし…というわけで、サイパンの隠れ名所を発掘すべく、N@chan!ジャングル探検隊、出動しました!今回はその模様をリアル?に速報いたします!!
【AM 09:00】〈N@chan!ち〉に全員集合!
ガラパンの〈N@chan!ち〉に集合したのは、朝9時。小さな島とは言っても、ジャングルは想像以上に深い。油断は禁物だ。まずは服装。長袖、長ズボン、手袋、滑りにくいしっかりとした靴は絶対条件。汗だくになることを想定して、着替えも用意しておこう。カメラ、懐中電灯、万が一のためのロープ。そして、自分の位置が確認できるようにスマートフォンと、いつでもどこでも定額でインターネット通信できる‘グローバルWifi’を持参して出発した。
本日の探検地は、太平洋戦争時に旧日本軍が追いつめられていった南の突端、ナフタン岬。険しいジャングルを進むので、オフロードにも対応できる4WDでなければ難しい。また、現地周辺には何もないので事前にスーパーに立ち寄って、飲み物や食料の調達も忘れずに。特にお水は余るくらいに確保しておいたほうが無難だ。
ナフタン岬方面に車を走らせると、やがてセメント工場にたどり着く。行き止まりか、と思いきや、よく見てみると道路の突き当たりから、車1台分がなんとか入れる未舗装の道が延びている。ここからがジャングルのはじまりだ。草ボウボウだが、どうにか進めなくはない。よし、行くぞ! 雑草をなぎ倒し、大きく車体を揺らしながら走るN@chan!探検隊の4WD。進めば進むほど、雑草はさらに深くなっていく。「マジで、大丈夫ですかね?」。隊員のひとりが心細そうにつぶやいた。対向車が来たら、どうにもできない道幅だ。つまり、戻るならバックするしかない。しかし、それも至難の業。とにかく進むしか術はない。そう判断して、さらに車を進めた。木のトンネルのようなところに来ると、雑草が少なくなった。おっ、走りやすくなったな、と思ったのもつかの間、今度は横から上から突き出た木の枝がバンバンと車体にぶつかってくる。これではボディは擦り傷だらけ。レンタカーは厳禁だ。
【AM 10:15】木の枝の赤いリボンが戦跡への道標。
かろうじて進める道をしばらく走ると、木の枝に結んである赤いリボンを発見。実はこのリボンは、付近に戦跡がある標。ジャングルの道なき道を戦跡まで誘導してくれる。車を停めて、進行方向左手のリボンのある方へ分け入ってみた。よく目を凝らすと、その方向に絶壁の岩山がそそり立っている。どうやらその辺りに何かがあるようだ。隊員全員に緊張が走る。黙々と歩いてたどり着いた場所、そこは岩盤の根本を削ってつくられたような塹壕の跡。岩山に沿って、かなりの長さで延びている。ナフタン岬は旧日本軍の重要基地だったエリア。まだまだ序の口。いろいろな戦跡があるはずだ。
再び車に乗り込み、さらに南へ。見落とさないように、ゆっくりゆっくり進んだ。すると隊員のひとりが大声を上げた。「何かありますよ!」。近づいて見てみると、それは門柱らしきもの。レンガ製の、しっかりとした造りだ。おそらく、ここは基地の入口。道路の左側にこの門柱があるのならば、右側にももう片方が存在するはず。調べてみると予想通り、少し離れた右側にそれは横たわっていた。こちらの柱には木の表札をはめこむ溝が掘られていて、門柱であることがはっきりとわかる。この門をたくさんの日本の兵隊さんが、敬礼して行き来していたのかと思うと、胸の奥が熱いものがこみ上げてきた。
【AM 10:40】グローバルWifiはジャングルでも早い!
試しにいくつかの携帯電話を持ってきたが、このジャングルまで電波が届くのはIT&Eだけのようだ。ポケットからスマートフォンを取り出して、‘グローバルWifi’の電源をONにする。IT&Eの回線を使用するこのモバイルWifiなら、サイパンのどこでもスマートフォンでインターネット通信OKだ。ナビゲーションのアプリを起動させ、衛星写真で現在位置を確認すると、岬の突端まではかなりの距離がある。探検はまだまだ、これからだ。
もう少し進むと、建物のような瓦礫が目に飛び込んできた。爆撃で崩壊したのだろう。原型はとどめていない。その建物跡の横にある、コンクリート製の箱型の建物。砲撃で空いたと思われる壁の穴から内部をのぞいてみると、その建物には窓がなく、壁の上から下へ降りるための鉄の梯子がついている。何だろう? 裏側に回って上方を調べてみることにした。そこには水路のような痕跡が。どうやらこの建物は雨水を溜める貯水槽だったようだ。サイパンでは、水は何より大切な資源。その確保のための苦労がうかがえる史跡だ。
まだまだ続く悪路。幸いにも対向車は一台もない。鬱蒼とした森の中、また赤いリボンを見つけた。道の左側から、人が通っていたことを感じさせる獣道がジャングルの奥へと延びている。岩の間を縫うように続くその道を進むと、岩の下穴に石を積み上げた塹壕を発見、そして、その先には土から顔を出している不発弾。ここが激戦地だったという事実をリアルに思い知らされた。
【AM 11:20】旧日本軍の巨大な高射砲砲台跡を発見!
獣道をさらに進むと…突如、円形の広場のような場所に遭遇。真ん中に丸い穴。それを囲むように、周囲に小さな倉庫のような空間が均等に配置された設計だ。真ん中の穴は鉄の梯子で降りられるようになっているが、錆びている
ので間違っても降りたりしないように! 垂直の穴は自力では這い上がれない。大きなこの穴の淵は巨大な鋼鉄のリングのようなものでできている。うーむ、これは一体、何だろう?ここでも役に立ったのがWifi!スマートフォンでインターネット検索してみた。なるほど、ここは砲身はなくなっているが、この円形の穴が台座だったらしい。となると周囲の倉庫は弾薬庫だろう。実はこの砲台跡、調査した結果、この付近に同じ形をしたものが3か所もある。それぞれが獣道でつなかっていて、2つ目の砲台跡にぶつかった時は、一瞬、同じところに戻ってきたような不思議な感覚に陥る。よ~く見ると穴が塞がっていたり、若干の違いがあるので冷静に。
この付近は基地の中心地だったようで、辺りには戦跡が集中している。道の右手の獣道を入っていくと、その奥に人工的な階段があり、それを上がると…テニアン方面が一望できる小さなテラスのような空間が。敵の動きを監視する展望所だったに違いない。また、一帯の獣道はそれぞれが複雑につながっていて、至る所に炊き出しで使われたと思われるドラムカンなどが残されていた。平坦ではない獣道は、想像以上に体力を使う。この時点で長袖のTシャツはビショビショ。もはや全身、汗まみれだ。
それにしても岬はまだなのか? すでに時計の針は正午を回っている。そろそろランチタイム! スマートフォンで再び現在位置を確認し、岬へと急ぐことにした。
【PM 00:25】本日のゴール、ナフタン岬に到着。
しばらく走ると、ジャングルを抜けて急に青空が広がる。しかし、太陽を存分に浴びた雑草は伸び放題。途中、何度もめげそうになるが、どうにも後戻りはできない。前進あるのみだ。そうこうしているうちに突如、太平洋を望む広大な広場にたどり着いた
。目的地のナフタン岬だ。予想していた通り、人っ子ひとりいない。まるで時間が止まっているように静粛な風景がそこに広がっている。当時と変わらないだろうその景色を眺めながら、買ってきたお弁当を広げてのランチタイム。トゲトゲした岩場の中でも、座りやすそうな場所を見つけて、隊員全員が輪になって座る。そして「いっただっきま~す!」と合掌したその瞬間、足元に茶色い何かが転がっていることに気づいた。薬きょうだ。しかも、ひとつではない。よく見ると、ここにも、そこにも…。トピックはホットなうちに誰かに伝えたい。というわけでスマートフォンで写真を撮り、Wifiを使って即座にfacebookにアップ。友達から早々に「いいね!」のリアクションが返ってきた。
ランチを終え、岬を散歩することに。遠くに見えるは、禁断の島。海はどこまでも深遠な蒼。ここで戦争があったとは、とても想像ができない。ふと地面に目をやると、大きな茶色い塊。よく見てみると巨大な不発弾だ。ここは砲台ではないので、爆撃機か戦艦から発射された爆弾ではないだろうか? 周辺には同様の不発弾があちこちに転がっている。
想像を膨らませながら、岬の南側へと足を進めてみた。こんもりと雑草が生い茂っているところが妙に気になり、雑草をかき分けて近づいてみる。分厚いコンクリートの壁。屈んでなら入れそうな入口をのぞくと、その中は旧日本軍の砲台だった。砲撃で天井部分は崩れているが、今も砲身は太平洋を睨んだままだ。
【PM 01:40】来た道を再確認しながらの帰り道。
消耗した体力もランチで復活!N@chan!探検隊は再び4WDに乗り込み、来た道を戻ることにした。行きは先が見えずに、この先には道があるのか? まだ車で進めるのか? そんなハラハラドキドキの連続で、かなりの時間を要したが、一度通った道はこんなにも楽なのか、と思えるほど軽快に進む。気づいたら、すでに門柱のあたりまで引き返していた。あれ? もうここまで来ちゃったのか? じゃあ、この先にはもう何もないなぁ、と隊員と話していた矢先のことだった。右側に入る分かれ道を発見。行きは余裕がなかったのか、まったく気づかなかった。
見つけてしまったからには、その先がどうしても気になる。どうする?という問いかけに、全員一致でハンドルを右に切ることに決定。ところが、この道が今まで以上の悪路。雑草はもちろんだが、タテ揺れがキツい。それでも全員シートにへばりつきながら、なんとかゴール地点に到達。スマートフォンで位置を確認すると、どうやら先ほどのナフタン岬の北側のよう。やはり切り立った絶壁の広場だ。車から降りて、何か気になるものがないか見渡してみる。特に人工的なものは存在しない。けれど、何か引っかかるなぁ…その瞬間だった。広大な広場の一面が、そういえば茶色い。土か?と思って地面を観察してみると、その茶色く見えたものは、なんと砲弾の破片ではないか!それが一面に敷き詰められているのだ。この美しい島に降り注いだ砲弾の雨。二度とそんな悲しい出来事が繰り返されないように、と隊員全員で黙祷し、手を合わせた。
【PM 02:50】陽が高いうちに、ジャングルから出ること。
ジャングルは陽が傾くと一気に暗くなる。もちろん電灯は一切ない。なので時間には余裕をもって行動しよう。また、天気が崩れそうな時は無理をしないこと。雨のジャングルは方向感覚がなくなり、とても危険だ。
もし、ジャングルを探検したくなっても、ツーリストだけでは絶対に行かないように。現地の案内人なしでは迷ってしまう恐れもあるので、ツアーデスクか〈N@chan!ち〉にご相談を!!