2015年10-12月

真夏の中村あゆみ Vol.35

「台風の被害、本当に大変だったみたいね。サイパンのみんなは大丈夫?何か私にできることない?」。多忙なスケジュールの中、N@chan!東京オフィスを訪ねてくれた彼女の想いやり溢れる第一声に、危うく涙腺が壊れそうになった。中村あゆみ。アーティストの真の人柄はなかなか表には出ないが、正直、ここまで周りの人を気遣う芸能人に、僕は出逢ったことがない。彼女を支えるマネージャーも、相棒のギタリストも、デビューした時のまま。30年以上も変わらずタッグを組んでいる。豊かな人間性なくして、この関係は確かにあり得ない。
　「そういえば、プロレスラーの鈴木みのるさんに贈ったテーマソング‘風になれ’が今年20周年なんだって?」。「そうなんだよね。ハヤッて感じ」。一言で20周年と片付けてしまうのは簡単だが、よくよく考えてみると、アレンジこそ時代の中で変化したとはいえ、20年間も愛され続けてきた楽曲は決して多くはない。しかも、今もなお、何ひとつ古さを感じさせない。作詞・中村あゆみ/高橋研、作曲・中村あゆみ。まさに、彼女の偉業のひとつだ。それを記念して9月30日に【中村あゆみ『風になれ』完全版20周年ベスト】が発売された。「歴代‘風になれ’5バージョンのほか、みのる君に贈った新曲‘Run For You’も入ってるんだ!全16曲。お楽しみに!!」。初回限定盤の完全版BOXには、中村あゆみ×鈴木みのる〔風になれフェスティバル〕でのフルバンドLIVEに加え、プロレス3試合、さらには伝説の東京ドームでの生歌唱入場シーンが収録されているDVD付。また、68ページの豪華ブックレットも封入された永久保存版だ。
　実は、鈴木みのるは連敗・怪我による長期欠場で引退を意識した時があった。追い込まれていた彼は‘風になれ’を、精神的に使えなくなってしまう。当時、その気持ちを知った彼女は新テーマ曲‘Yesterday,Today ＆ Tomorrow’をつくっている。1コーラスのみのこの楽曲、鈴木みのるの再起を願って、あえて完成させなかったのかもしれない。この件については一切語ってはくれないが、僕が知る『中村あゆみ』とは、そういう人間だ。
　ふと、彼女が小声で歌いはじめた。‘Oh,in the storm 嵐に向かって はばたく鳥のように 輝きの中で 風になれ～♪’サイパンで大変な想いをされている方に、ぜひ‘風になれ’を聴いて元気になってほしいな…」。うれしい独り言だった。

☆中村あゆみオフィシャルブログ☆


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