2014年4月・5月

真夏の中村あゆみ Vol.28

線路沿いにひっそりと佇む、昔ながらの喫茶店。彼女の行きつけ、というその場所には、都会の喧騒を忘れさせる、温もりのある時間がゆったりと流れていた。「このお店には、よく来るの?」「歌詞を考えたりする時とかね。気兼ねなく寛げるこのスローな空気感が、どうにも居心地がよくて…」。窓の外に目をやりながら静かに応える彼女の表情を見て、ふと、僕は甘い匂いを放つ薄いピンク色の薔薇を連想した。そういえば、これまでにも彼女を花に例えてみた記憶がある。野に咲くレンゲ草だったり、ある時は力強い向日葵だったり。確か、サイパンに咲く火炎樹をイメージしたこともある。さて、今日の薔薇の理由は・・・と想像を膨らませていると、まるで僕の脳裏を見通したように、彼女のほうからその答えを教えてくれた。

「最近、とても充実してるんだよね。家のあれこれや英語のレッスンとか、仕事とプライベートがバランスよく、いい時間の使い方ができてる。若いころは、こうはいかなかったなぁ。毎日、アクセル全開で突っ走ってた。今はね、その時々の景色も楽しみながらドライブしてる感じかな。優雅に、エレガントに、1シーンをじっくりと楽しみながら…」。愛娘もこの春、無事に志望していた高校に合格したそうで、また少し時間的な余裕が生まれるとのこと。そのぶん、これからは自分磨きにも時間を使いたい、と意欲的に語ってくれた。

「ローリング・ストーンズのライブは観に行った?いや～、とにかくカッコよかった!ストーンズはやっぱりロックの神様だよね。音楽もそうだけど、生き方が本当に素敵!!常にトップを走ってきて、あの年齢で、あの信じられないパフォーマンス!!私もこれまでに経験してきたことを土台に、まだまだ成長しなくちゃね。あのくらいの歳になった頃、素敵でいられるように頑張んなくちゃ。たった一人でも私の歌を聴いてくれる人がいる限り、私、歌い続けるよ!!」。
春の陽射しを浴びて、今、積み重ねてきた人生が芽吹いている中村あゆみ。今年はデビュー30周年の年。それを記念したスペシャルなプロジェクトも動いているとのことで、彼女の人生の1ページに、また色とりどりの花が咲きそうだ。

中村あゆみオフィシャルチャンネル
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