真夏の中村あゆみ

2016年7-9月

真夏の中村あゆみ vol.38

 4月30日、久しぶりに心が洗われる出来事に遭遇した。中村あゆみの2回目のファンミーティングLIVE。3月末に始まった申込受付は即日SOLDOUT。その中に、熊本在住のファンクラブ会員・K子さんもいた。ところが2週間後、熊本地方を震度7強の地震が襲う。K子さんの家は、最も被害の大きかった益城市。自宅は半壊し、避難所生活を強いられているという。本当に残念だけど、楽しみにしていた今回のLIVEへの参加はキャンセルだろう…。誰もがそう思っていた。しかし、開催日直前にK子さんから連絡が…。「なんとか行けそうなので、鹿児島空港から行きます」そして当日、15時の開演直前のことだった。「すいません。今、浜松町で少し遅れそうなんです」。どうやら車イスで移動しているらしく、ゴールデンウイークの人混みが予定を狂わせたようだ。彼女が到着したのは16時。LIVEが始まって、すでに1時間が過ぎていた。会場に入ってきた彼女を温かく迎える中村あゆみファン。最前列の中央に座っていた人たちが率先して席を動かし、中村あゆみの目の前のエリアに特等席を確保して、K子さんの車イスを押していく。その気遣いに会場全体が、なんとも優しい空気感に包まれ、小休止の後、熱いステージが再開した。それから1時間半、スタートから2時間30分、全21曲を歌い上げた熱いLIVEは大盛り上がりのうちに幕を閉じた。そのはずだった。
 中村あゆみの最後のMC。「これで今日予定していた全曲を歌い切りました。どうだったかな?みんな、今日は私のLIVEに来てくれて本当にありがとう!!でも、はるばる熊本から来てくれたK子さんが1時間ばかり遅れちゃいました。なので、この2回目のファンミーティングLIVEの第2回目のステージを今からやりたいと思います!!」。なんと、K子さんが聴けなかった楽曲を彼女のために最初からやり直す、というのだ。スタッフもバンドメンバーも、まさか!と目を見開いている。というのも、ソロのシンガーにとっては2時間30分のLIVEは、それだけで喉が悲鳴を上げる。なのに、中村あゆみは、被災地・熊本から車イスで駆けつけてくれたK子さんが少しでも元気いっぱいに帰れるようにとその場で延長を即断したのである。終演から、さらに約1時間。中村あゆみは愉快なMCを交えながらセットリストの振り出しに戻り、K子さんが聴き逃した8曲を熱唱した。
 たった一人への、小さな応援。しかし、その場に居合わせた人たちの心を大きく揺り動かしたことは間違いない。そして僕も、その一人。僕にできることを、もう一度、今、探している。。

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