2011年11月
伝説の男 vol.11 「松村洋一」
日本に最も近い常夏リゾート、サイパン。今回の伝説の男、松村洋一が大手旅行代理店・近畿日本ツーリストの社員として現地法人‘PacificDevelop,Inc’(通称PDI)に着任した27年前、まだこの島は信号もなく、道路も舗装されていない町だった。26歳の時のことだ。
通常なら旅行会社の海外赴任期間は3~5年。与えられた仕事を無難にこなしていれば、あっという間に終わる。しかし、当時のPDIの事業はホテル、バス、船、マニャガハ島運営など広範囲に拡がっていたこともあり、予想だにしない様々な仕事が待ち受けていた。楽しいことばかりではない。むしろ、苦しみの連続だったという。けれど、会社の歯車じゃなく、自分の力で何もかもを動かしていく。そこに手応えを感じて、エネルギッシュに走り続けた。その情熱が地元の人々にも伝わり、人脈が広がっていく。同時にビジネスの楽しさも膨らみ、帰国することなくこの地に咲き続けることに。そして3年前、社長に就任した。
これまでの彼の功績を挙げればキリがない。慰霊団の受け入れにはじまり、韓国から初のチャーター便を誘致したり、日本以外の外国として初めてシーウォーカーを持ち込んだり。7年前からはマリアナ観光局の理事に就任し、続々とビッグイベントを生み出している。世界的に有名な選手が参加するトライアスロン大会「Tagaman(タガマン)」。今年で3回目を迎えた、フィン、マスク、シュノーケルを使ってマニャガハ一周する「サイパンインターナショナルフリッパー選手権大会」。ジャングルの中を走り抜ける「マリアナコーヒー トレイルラン」。そして今年、あの間寛平が出場したことで知られる「サイパンマラソン」も、もともとハーフだったものを彼がフルマラソンができるように提案し、開催されたものとか。また、ミニ地球人村というチャモレニアン(チャモロとカロレニアン)の文化を体験できるオプショナルツアーを企画。マーマー(花飾り)やビーズ細工を現地の人から直接講習を受けられるユニークな内容で、日本の学校と地元学校との交流にも一役買っている。
北マリアナのために人生を燃やし尽くしたい、という松村にとって、北マリアナは第2の故郷、それ以上の地。地球規模で国境がなくなるこれからの時代、この男が築き上げたかけ橋が大きな意味をもつに違いない。









